フリーランスWebデザイナーさんならご存じの方も多いかもしれませんが、サイト制作を受注する際、デザイン費は法的に源泉徴収の対象、コーディング費は源泉徴収の対象外となっています。
そのため、請求書を作成する際には、金額の記載方法やクライアントへの伝え方に注意が必要です。
この記事では、Webサイト制作(デザインとコーディング)を受注した際、クライアントへ請求書を送るときのメール定型文と送信時の注意点を解説していきます。
請求時に送るメール内容にお困りの方は、こちらで紹介する定型文をご活用ください。
サイト制作のデザイン料は源泉徴収の対象
Webサイト制作する際、ややこしいのがデザインとコーディングの源泉徴収問題です。
ここでは、サイト制作を受注した際、デザインとコーディングをわけて請求すべき理由と源泉徴収対象範囲を解説していきます。
デザイン料とコーディング料を分けて請求すべき理由
デザイン業務は法的に源泉徴収の対象となりますが、コーディング業務は源泉徴収の対象外となっています。
そのため、請求書をデザイン費・コーディング費に分けることで、源泉徴収の適用範囲が明確になり、クライアント側の会計処理もスムーズになります。
特に企業の経理担当者によっては、源泉徴収についての認識が異なることもあるため、請求時に適切な説明を行うことが重要です。
デザイン業務における源泉徴収の対象範囲
デザイン業務が源泉徴収の対象となる範囲は、所得税法第204条第1項第1号に規定されています。
具体的には、以下のようなデザインが対象に含まれます。
法第204条第1項第1号に規定するデザインの範囲
- 工業デザイン
自動車、オートバイ、テレビ受像機、工作機械、カメラ、家具など- クラフトデザイン
茶わん、灰皿、テーブルマットなどの雑貨- グラフィックデザイン
広告、ポスター、包装紙など- パッケージデザイン
化粧品、薬品、食料品の容器など- 広告デザイン
ネオンサイン、イルミネーション、広告塔など- インテリアデザイン
航空機、列車、船舶の客室などの内部装飾- ディスプレイ
ショウウインドー、陳列棚、商品展示会場など- 服飾デザイン
衣服、装身具など- その他のデザイン
ゴルフ場、庭園、遊園地など
Webデザインもグラフィックデザインの一部(バナー制作や画像制作)と見なされ、源泉徴収の対象となります。
広告やキャンペーンに使われるLP(ランディングページ)制作は、「広告デザイン」として解釈されやすいです。
たとえば、バナー広告、ポスター、カタログなどのデザインと同じく、一時的な広告活動やプロモーションの一部として捉えられます。
デザイン料の請求時に注意すべきポイント
デザイン料が源泉徴収の対象であることを考慮し、請求時には以下の点に注意しましょう。
- 請求書に「デザイン費」と「コーディング費」を明確に分けて記載する
- 源泉徴収額を適切に計算し、クライアントに伝える
- クライアントに源泉徴収の必要性を説明し、誤解を防ぐ
特に、請求書に「Web制作費」などの曖昧な表記をすると、クライアントが源泉徴収の処理を誤る可能性があります。
明確な表記を心がけることで、後々のトラブルを防ぐことができます。
請求書の書き方や源泉徴収の適用範囲を理解して、正しく対応できるようにしておきましょう。
デザイン費とコーディング費を別々に請求する際の定型文
デザイン費とコーディング費を別々に請求する際の定型文は以下になります。
本文の内容に応じて適宜修正してご使用ください。
コピペでメールが送れるように改行など調整しています。
件名:サイト制作に関するご請求の件
株式会社〇〇 担当者様
いつもお世話になっております。〇〇です。
この度は、サイト制作をご依頼いただき誠にありがとうございました。
サイト制作の請求について以下の理由により、デザイン作業とコーディング作業の請求を分けております。
デザイン作業の源泉徴収について:
デザイン作業については、税法上、源泉徴収が必要となりますので、請求金額は源泉徴収税額を差し引いた金額となります。
コーディング作業の源泉徴収不要について:
一方、コーディング作業については、源泉徴収の対象外となりますので、そのままの金額でご請求させていただきます。
法的な規定に基づき、このようなご案内とさせていただきました。
添付の請求書をご確認いただき、〇月△日までに指定の口座へお振り込みいただけますようお願い申し上げます。
マイナンバーなど必要な書類がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
デザイン費とコーディング費をまとめて請求する際の定型文
デザイン費とコーディング費を一つの請求書にまとめる際の定型文は以下になります。
本文の内容に応じて適宜修正してご使用ください。
コピペでメールが送れるように改行など調整しています。
件名:サイト制作に関するご請求の件
株式会社〇〇 担当者様
いつもお世話になっております。〇〇です。
この度は、サイト制作をご依頼いただき誠にありがとうございました。
サイト制作の請求について
サイト制作におけるデザイン作業とコーディング作業の費用は
一括してご請求させていただいておりますが、デザイン作業に関しては税法上、源泉徴収が必要となります。
そのため、デザイン費用に対して源泉徴収費を別途記載し、デザイン費用から源泉徴収費を差し引いた金額でのご請求となっております。
添付の請求書をご確認いただき、〇月△日までに指定の口座へお振り込みいただけますようお願い申し上げます。
マイナンバーなど必要な書類がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
請求書送付時の注意点
請求書を送付する際は、以下の点に留意しましょう。
- 必要書類の確認
マイナンバーなどの必要書類があれば、事前にクライアントに確認し、スムーズな対応を心掛けます。 - 件名の明確化
クライアントが一目で内容を把握できるように、件名は具体的に記載します。 - 添付ファイルの確認
請求書を送る際、ファイルがきちんと添付されているか確認します。
重要な添付ファイル漏れを防ぐ
大事なメールにファイルを添付しようと思っていても、うっかり忘れてそのまま送信してしまうミス結構ありがちです。
以下の情報よりファイルの添付漏れなどの誤送信が多いようです。
MOTEXが行った「Webメールサービス 利用実態調査」(回答:20〜60代男女140名)によると、半数近く(45.7%)の人が過去にメールの誤送信を経験したことがあるとのこと。また一般的に使われているメーラーとして「Outlook(40.7%)」、「Thunderbird(12.0%)」、「Windows Liveメール(8.4%)」の3つが多いという結果が出ています。
最近のメールソフトには、こうした添付忘れを防ぐための機能がいろいろ備わっています。
ここでは、主要なメールソフトの添付忘れ防止機能についてご紹介します。
「Thunderbird」ダブルチェック機能
「Thunderbird」には、添付忘れ防止のためのダブルチェック機能が標準で搭載されています。
たとえば、メール本文に「添付」という言葉が含まれていると、ファイルを添付するように情報バーでお知らせしてくれますし、何も添付せずに送信しようとするとポップアップで警告が出ます。
新しい「Outlook for Windows」添付忘れ防止機能
新しいOutlook for Windows(Windowsのデスクトップアプリ版)にも、メールのファイルの添付忘れ防止機能があります。
大事なメールのやり取りにおいて、添付忘れがないように本機能を活用しましょう。
以下は、Windowsデスクトップ版「Outlook」での設定方法です。
- 右上の歯車アイコンをクリックして設定画面を開く
- 「メール」→「添付ファイル」を選択
- 「共有に関するユーザー設定」をONにする
- 「保存」をクリック
これで、添付ファイル漏れを防ぐ警告メッセージが表示されるようになります。
「Gmail」添付忘れ防止機能
「Gmail」には、添付ファイル忘れを自動でチェックしてくれる機能が標準で備わっています。
本文に「添付します」「添付する」「添付いたしました」といった言葉が含まれていて、ファイルが添付されていない場合、ポップアップで警告が出ます。

いくつか実際にどのワードが反応しないか検証してみました。
以下は警告が出ないワードの一例です。
- 「添付しております」
- 「添付してます」
- 「添付」
まとめ
今回公開した定型文は、請求時にご活用いただいても問題ありませんが、双方の認識のズレを防ぐために、源泉徴収の扱いやクライアントにとって処理しやすい方法について、初期段階で合意しておくことをおすすめします。
契約書に明記しておくと安心ですし、きちんと確認を取ることで信頼関係の構築にもつながります。
これにより、クライアントの処理方法に合わせて請求書を再発行する手間も省け、効率的に作業を進められます。
今後も、フリーランスの方やWEB業界に興味のある方に向けた役立つ記事を公開していきます。
また次の記事でお会いしましょう!
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