「印刷用のデータはちゃんと作ったはずなのに、いざ入稿したらNGだった…」
そんな経験をしたことがある方、意外と多いんです。
PDF入稿は、初めてだと少しわかりにくい部分もありますが、よくあるポイントだけ押さえておけば安心です。
この記事では、印刷トラブルを防ぐための基本的なチェックリストと、特に注意したい「アウトライン化」のポイントを、わかりやすくまとめました。
「これで合ってるかな?」と不安な方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
1. テキストは必ず“アウトライン化”しよう
フォントが変わっちゃうトラブルを防ぐ!
アウトライン化をしていないと、入稿先の印刷会社に自分が使ったフォントが入っていない場合、勝手に違うフォントに置き換わってしまうことがあります。
そうなると、デザインやレイアウトが崩れる原因に…。アウトライン化すればフォントが図形化されるので、データが崩れる心配はありません。
アウトライン化とは?
使ったフォントを図形に変換することです。
もし印刷会社にあなたが使ったフォントが無い場合、自動で別フォントに置き換わってしまうので、アウトライン化は必須になります!
アウトライン化の方法
全選択 → メニュー【書式】→【アウトライン作成】
アウトライン化すると文字の編集ができなくなるので、アウトライン後は別名保存をしてください!
2. カラーモードは「CMYK」で!
RGBは画面用。印刷はCMYKじゃないと色が変わる…!
印刷は「CMYKカラー」で行われます。もし「RGBカラー」のままだと、画面で見た色と実際に印刷された色が大きく変わってしまうことがあります。
鮮やかだった色がくすんでしまう…なんてことも。印刷用なら、必ずCMYKに設定しましょう。
C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー、K=ブラック の4色を組み合わせて印刷物の色を表現する方式です。
RGBとCMYKの違い
- RGB:パソコンやスマホなどディスプレイ用の色
- CMYK:印刷用の色
RGBのままだと、印刷時に色がくすんだり変わったりします。
CMYKカラーの設定方法
印刷用データがRGB設定になっていたら、CMYKカラーへ変更しましょう!


【ファイル】→【ドキュメントのカラーモード】→「CMYKカラー」に設定!


3. 黒色はK100%かリッチブラックを使おう
キレイな黒に仕上げるコツ
印刷で使う黒にも注意が必要です。細かい文字や線には「K100%」を使うとシャープに印刷できます。
一方、広い面積にベタ塗りする場合は「リッチブラック」にしないと、ムラっぽく仕上がることがあります。
それぞれ用途に合わせて正しく設定しましょう。
カラーパネルRGBをCMYKにしたい
新規ドキュメントでRGBを作成すると、カラーパネルもRGBのままになっているので、カラーモードをCMYKにしたあとに、カラーパネルでもCMYK用に設定しましょう!
- カラーパネルを表示(ウィンドウ → カラー)
- パネル右上の メニューアイコン(三本線) をクリック
- 「CMYK」 を選択
→ RGB表示からCMYK表示に切り替えられます。


K100%とは
「K(ブラック)」だけを100%にした黒。
テキストや細かい線に最適!にじまずシャープに仕上がります。
例)C0 M0 Y0 K100


リッチブラックとは
広い面積に塗る場合は、K100%だけだとムラっぽくなることも。
そこで登場するのが「リッチブラック」です。他の色も少し足して深く濃い黒に見せるテクニック。
例)C40 M40 Y40 K100(印刷所によって指定が異なる場合あり)


4. 画像は解像度350dpi、カラーモードCMYKで!
粗くてぼやけた印刷…にならないために
解像度が低い画像を使うと、印刷したときにぼやけたり、粗く見えたりします。
目安は「350dpi」です。また、印刷用に配置する画像自体も必ず「CMYKカラー」にしておくことで、色味のズレを防げます。画面上でキレイでも、印刷用に正しい設定が必要です。
解像度チェック
印刷用は350dpiが目安。
Photoshop →【イメージ】→【画像解像度】で確認。
Illustrator →【リンク】パネルで「ppi」確認 → 350ppi以上ならOK。


- チラシや名刺などの一般的な印刷物 → 300ppi以上あればOK
- 写真をきれいに見せたいパンフレット・冊子など → 350ppiならより安心
- 逆に、400ppi以上など無駄に高すぎてもデータが重くなるだけでメリットはありません。
以下の記事でフォトショップを使って、解像度を簡単にあげる方法を説明しています。


カラーモード確認
RGB写真は【CMYKカラー】に変換&保存してから使いましょう。
RGB画像 → CMYK変換(Photoshop)
- Photoshopで画像を開く
- 【イメージ】→【モード】→【CMYKカラー】に変換
- 【別名で保存】(もしくは上書き保存)→ CMYK画像として保存(TIFF、PSD、JPEGなど)
5. 仕上がりサイズを確認
仕上がりサイズは数値で確認しよう!
仕上がりサイズが間違っていると、思った通りのサイズで仕上がらないことがあります。
しっかりサイズを確認しておきましょう。
サイズ確認手順
印刷物には「A4」「B5」など決まったサイズがありますが、Illustrator上ではそのまま表示されないことがあります。
【ファイル】→【ドキュメント設定】→【アートボードを編集】でアートボードを選択したら、画面上部(または右側のプロパティパネルなど)に幅と高さが表示されます。
たとえば、A4なら 210mm × 297mm、B5なら 182mm × 257mm など、印刷用サイズと一致しているか確認しましょう。
【A4・B5 サイズ参考】
| 用紙サイズ | 幅(mm) | 高さ(mm) |
|---|---|---|
| A4 | 210mm | 297mm |
| B5 | 182mm | 257mm |
6. 塗り足し(ドブ)は3mm確保しよう
白フチ防止のために!
印刷はズレがつきものです。
仕上がりの外側に「塗り足し(ドブ)」として3mm余分にデザインを広げておかないと、断裁時に紙の白フチが出てしまうことがあります。見た目が悪くならないよう、必ず設定しましょう。
仕上がりサイズの上下左右に3mmずつ余白(塗り足し)を作っておくこと。これがないと、断裁時にズレたとき白フチが出ます。
7. PDF保存設定も忘れずに!
保存形式は「PDF/X-4」がおすすめ
印刷用PDFは、保存設定も大切です。
推奨されている「PDF/X-4(日本)」形式で保存すれば、透明効果などにも対応でき、トラブルが少なくなります。
- 保存方法
-
【別名で保存】→【Adobe PDF】
プリセット:「PDF/X-4:2008(日本)」推奨!
「トンボ」「裁ち落とし」の設定を忘れずに。
トリムマーク=裁断の目印。これがないと印刷時にズレることがあります。
8. 画像のリンク切れ・埋め込みを確認しよう
リンク切れ=画像が印刷されない…
Illustratorで作成したデータに、リンク切れの画像があると、印刷したときに画像が表示されず真っ白になってしまうことがります。
入稿前に、すべての画像がきちんとリンクされているか、もしくは埋め込みされているか確認しましょう。
Illustratorでは【ウィンドウ】→【リンク】パネルで確認。
できれば埋め込み推奨!リンク切れ事故を防げます。埋め込み時、ファイルの容量は重くなるので要注意!
9. 不要レイヤーは削除、統合も検討
エラー防止&データ軽量化
制作時に使っていた不要なレイヤーが残っていると、データが重くなったり、印刷会社でトラブルになる原因になることもあります。
不要なレイヤーは削除し、複雑すぎるものは統合してシンプルな状態に整理しておきましょう。
使っていないレイヤーは削除。複雑すぎるレイヤー構成や効果は、【オブジェクト】→【アピアランスの分割】や統合を考えてください。
10. スポットカラー(特色)は使ってない?
CMYKフルカラー印刷ではNG
CMYKフルカラー印刷なのに「スポットカラー(特色)」が入っていると、意図しない色で印刷されることがあります。スウォッチパネルで確認し、特色は使わずCMYKカラーで統一しましょう。
スウォッチで特色マーク(三角+丸)がついてないか確認。
CMYKカラーに変換必須!
【まとめ】これで入稿ミス防止!PDFチェックリスト
- テキストはアウトライン化した?
- カラーモードはCMYK?
- 黒はK100% or リッチブラック?
- 画像は350dpi&CMYK?
- 仕上がりサイズ&トンボOK?
- 塗り足し3mm確保した?
- PDF/X-4で保存した?
- 画像リンク切れナシ?
- 不要レイヤー削除した?
- スポットカラー使ってない?
このチェックをすれば、印刷所での「データ不備NG」もぐっと減らせます。
ぜひ保存版として、何度でも確認してくださいね!
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