最近、ブラウザでアプリやWebサービスを使う際に「パフォーマンスが制限されています」と表示されることはありませんか?
私自身も先日 AdobeのFirefly(ファイアーフライ)をブラウザ上で使用していた際 に、以下のようなメッセージが表示されました。


「パフォーマンスが制限されていることが検出されました。最適なパフォーマンスを得るために、ブラウザーが最新バージョンに更新され、ハードウェアアクセラレーションが有効になっていることを確認してください。」
この警告が出た原因を調べたところ、「ハードウェアアクセラレーションが無効になっていた」ことが原因でした。
本記事では「ハードウェアアクセラレーションを無効にするデメリット」と、「その影響を避けるための対策方法」をわかりやすく解説します。
ハードウェアアクセラレーションとは?
「ハードウェアアクセラレーション」とは、パソコンやスマホの描画(表示)や処理を速くするための機能です。
通常、パソコンの計算は「CPU(シーピーユー)」という頭脳のような部品が担当しています。
しかし、動画再生や画像生成など「画面に何かを描く」作業はとても重い処理です。
そこで登場するのが「GPU(ジーピーユー)」です。
GPUは「グラフィックス処理装置」と呼ばれ、映像や画像の描画を専門的に処理するパーツです。
ハードウェアアクセラレーションを有効にすると、このGPUも使って作業を分担できるようになります。
結果として、
- 動画や画像がスムーズに動く
- ページのスクロールやアニメーションがカクつかない
- バッテリーの消費も減る
といった効果があります。


CPUとGPUの違いを簡単に理解しよう
| 名称 | 主な役割 | 例えるなら |
|---|---|---|
| CPU(中央処理装置) | 全体の流れを考え、どの作業をいつ行うか指示を出す | Webディレクター(企画・進行管理をする人) |
| GPU(グラフィックス処理装置) | ディレクターの指示をもとに、実際にデザインやビジュアルを形にする | デザイナー(ビジュアルを実際に作る人) |
たとえば、動画編集やAI画像生成などの「絵を動かす」「表示する」系の作業はGPUが得意です。
CPUは「Webディレクター」のような存在で、全体の流れを管理し、どの処理をどの順番で行うかを決めます。
一方、GPUは「デザイナー」のように、ディレクター(CPU)の指示をもとに実際のビジュアル作業を行います。
ハードウェアアクセラレーションを無効にするというのは、
ディレクターが1人でデザイン制作まで全部こなそうとするようなものです。
結果、時間がかかり、デザインはディレクターの得意分野ではないため、仕上がりも遅く、品質も落ちてしまいます。
WebGL・Canvasとは何か?
ブラウザ上で画像を動かしたり、3D表示をしたりする技術のことをWebGLやCanvasと呼びます。
- WebGL(ウェブジーエル):3Dや立体的なグラフィックをブラウザ上で描く技術
- Canvas(キャンバス):お絵かきアプリのように、2Dの図形や画像を描くための仕組み
これらは、GPUの力を借りて動かすことでスムーズに表示できるようになっています。
ハードウェアアクセラレーションが無効になっていると、これらの処理が遅くなったり、描画が乱れたりします。
ハードウェアアクセラレーションを無効にするデメリット
ハードウェアアクセラレーションを無効にした場合、以下のようなデメリットがあります。
- ブラウザやアプリの動作が重くなる
-
GPUを使わずCPUだけで処理するため、特に動画再生やWebアプリでカクつきや遅延が発生しやすくなります。
- バッテリー消費が増える
-
CPUで全ての処理を行うため、ノートPCではバッテリーの消耗が早くなります。
- 高画質動画やアニメーションの滑らかさが低下
-
YouTubeやNetflixのHD動画、ブラウザゲーム、WebGLコンテンツの再生品質が低下する可能性があります。
- 一部機能が正常に動作しない場合がある
-
WebGLやCanvasを使った高度な描画機能が制限されることがあり、アプリのパフォーマンス低下や描画不具合につながります。


ハードウェアアクセラレーションの確認と有効化方法
ブラウザごとにハードウェアアクセラレーションを確認・有効化する方法は以下の通りです。
Google Chromeでの有効化手順
アドレスバーに chrome://settings と入力


「システム」→「グラフィックス アクセラレーションが使用可能な場合は使用する」をオン


「グラフィックス アクセラレータが使用可能な場合は使用する」オンにしたあと、再起動ボタンが出現するので、Chromeを再起動します


Microsoft Edgeでの有効化手順
アドレスバーに edge://settings/system と入力


「システムとパフォーマンス」→「システム」


「使用可能な場合はグラフィック アクセラレータを使用する」をオン


アドレスバーにedge://restart入力して再起動をかける


その他のブラウザでの有効化手順
Mozilla Firefox
ハードウェアアクセラレーションはこちらの公式ガイドに沿って設定可能
Safari(macOS Catalina以降)
デフォルトで有効。無効にはできません
参照: Adobe公式ガイド


無効化は安定性優先の時だけに
古いパソコンやドライバの不具合などがある場合、一時的にハードウェアアクセラレーションを無効にすると安定することがあります。
ただし、基本的には常に有効にしておくのが推奨です。
アプリの動作が重い、または警告が出た場合は、まずこの設定を確認してみましょう。
まとめ
- ハードウェアアクセラレーションは、CPUとGPUが協力して処理を速くする機能
- 無効にするとブラウザの動作が重くなり、動画やアニメーションの表示が乱れる
- WebGLやCanvasなど、グラフィックを扱う機能にも悪影響が出る
- 通常は「オン」にしておくのがおすすめ
ブラウザやアプリの動作が重いと感じた場合は、ハードウェアアクセラレーションの設定の見直しを行ってみてください。では!
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